嶋崎さん

新規就農3年目 ●● ●●さん

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サロベツ・エコ・ネットワーク嶋崎 暁啓さん

北海道滝川市出身、神奈川県育ち。日本大学大学院生物資源科学研究科でヒグマの生息地評価モデルを研究。平成19年よりNPO法人サロベツ・エコ・ネットワークに勤務。趣味は旅・カメラ・登山・キャンプ・カヤック。

北の自然の守人

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6,000年を超える悠久の時の流れが形作ったサロベツ湿原。日本最大の高層湿原として知られ、貴重で珍しい動植物の宝庫である。平成17年には渡り鳥にとって国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録された。
この自然の遺産であるサロベツ原野を次世代に引き継ぐための活動を推進するため、地元有志等で結成されたのが認定NPO法人サロベツ・エコ・ネットワークである。

豊かな自然が見られるところは、日本全国にありますが、これだけ大きなスケールで手つかずの自然が残されているのは、北海道ならではの特徴だと思います」と語る嶋崎さん。学生時代の夏休みに初めてサロベツを訪れて以来、ここの自然に惚れ込んだ。大学院修了後に同団体に自らを売り込んで常勤スタッフとなった。NPO法人は、会員や企業からの寄附、民間や行政からの委託事業、オリジナルグッズの販売やガイド事業等で運営している。その中にはボランティア的な事業も多く、収入面に期待が持てる仕事ではない。しかし、ここでしかできない仕事への誇りや責任感が嶋崎さんのモチベーションを支えているのは言うまでもない。

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サロベツ原野に見いだした自然の尊さ

嶋崎さんは移住してから生活面の違いに戸惑うでもなく、逆にそれを楽しんでいる風でもある。 「確かに都会とは違う生活面の不便さはあります。でも、慣れれば大丈夫ですし、小さなコミュニティならではの持ちつ持たれつ、助け合いの空気が好きです。私が暮らしている稚咲内という海辺の集落では、ご近所の方から新鮮な牛乳や野菜、魚介類をいただいたりします。都会では失われつつある人と人との温かいつながりを感じます。また、自宅から職場までの通勤時間もほとんど無いですし、家族と過ごせる時間もずっと多いと思いますよ。大自然の中での子育ても楽しいものです。それに、交通アクセスも家から空港まで1時間で行けて、特急が利用できる駅もあります。路線バス、高速バスも走っていて道路の除雪も行き届いています。もちろんブロードバンド環境もありますので、都会の方が思っているよりもずっと快適な田舎暮らしですよ。」仕事で取り組む環境保全活動は、地域と密接なコミュニケーションをとりながら、地域住民の理解を得ることが大切だという。「観光客の方や周辺住民の方に必ず伝えているのが、人の生活と自然とのせめぎ合いについてどうするかです。人と自然の共生を目指してサロベツで始まった自然再生事業は、まさにこのテーマに関する1つの答えを探し出そうとしています。また、次世代を担う子どもたちに地域の宝であるサロベツの自然の素晴らしさを伝え、将来像について一緒に考えていってもらうことは非常に大切です。」自らの生活圏を守るために産業を振興すれば、自然への影響もそれだけ大きくなる。このジレンマにどう向き合っていくかが、人類が直面している大きな課題だ。

人と自然をつなぐ調整役

嶋崎さんたちは、地域住民の事情を汲みながら自然環境への理解を促し、人と自然との調整役になることで、この大きな課題の糸口を探している。「人と自然を繋げる仕事がしたくて、ここに来ました。より良い人と自然の関係をサロベツらしい形で築いていきたい。いつか、地元の方がサロベツの自然に誇りを持ち、その魅力や大切さを自らの言葉で語れるようになってもらえれば良いですね」。成果が出るまでは時間がかかるかもしれない。それゆえ、人生を懸けて取り組む価値がある仕事だろう。サロベツの雄大な自然に寄り添いながら、未来を見据えて一歩ずつ歩んでいるところだ。

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